◎ 腰痛予防について

荷物とからだとの関係について

 物を持つ際に、腰にかかる負担について解説する。
 A図では、腕を曲げて体の近くに寄せて物を持っているのに対し、  B図では、腕を伸ばして体から離して持っている。
 てこの原理では、支点と力点との距離が長いほど、作用点にかかる力が大きくなることから 、B図の方が物の重さによる腰への負担は大きくなる。
 そのために作業のために物を持ったり、赤ん坊を抱く際は、 体に近づけて持つようにすれば腰のにかかる負担は減る。

物を持ち上げる動作について

 次は物を持ち上げる動作について解説する。
 A図では、股関節や膝・足首の関節を曲げることで脚全体を曲げ、前に傾いた骨盤を 起こした後、前に曲げた腰を伸ばして、物を体の近くに寄せて、脚を伸ばして物を持ち上げて いる。
 B図では、 脚を伸ばしたまま骨盤を傾けて、物を持ち上げるときに骨盤を傾けた状態のままで腰を伸ばして いる。
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  A図の方法であれば、物をからだの近くへと寄せて持ち上げているために 腰椎へとかかる負担は少なくなっている。これに対してB図の方法は物をからだから 離れたところで持ち上げているために、物による腰椎への負担は大変大きくなる。
 またA図では背骨を垂直方向に近い状態において物を持ち上げているために 椎間板に上下方向に圧迫する力がかかる。椎間板は、上下方向に圧迫される力に対して非常に強く、背骨を圧迫する力を上下方向に かけ続けると、椎間板よりも背骨の方が先につぶれてしまうほどである。
 B図の状態では、背骨は水平に近い状態において物を持ち上げている。 このために椎間板には前後方向の力がかかる。前後や左右方向にかかる力は椎間板の 線維を引きちぎるように働き、椎間板の損傷を引き起こす。 また荷物とからだの 重みを椎間板が吸収することができず、腰椎の関節にも大きな負担が かかり、関節の損傷をも引き起こすことになる。

★ まとめ

 物を持つ負担による腰痛を防ぐためには、 以下のことに注意する。
〇 物をできるだけ体に近づけて持つ。
〇 物を下から持ち上げるときは、まず脚全体を曲げる
〇 それから頭と腕をその重みに任せるようにして体を前に傾けて物を持つ。
〇 持ち上げるときは、まず前に傾いた骨盤の角度を 元に戻しながら腰椎の前弯を回復させる。
〇 その後に脚を伸ばす。

◎ 運動について

  椎間板や関節の軟骨は、 成長期以後は 血管が通じなくなり、血液によって栄養を得ることができない。 これらは周りの組織から染み込んでくる体液により栄養を得ている。 そのため椎間板や軟骨が十分に栄養を得るには、適度な圧力がかかることで 含まれた体液が 押し出されて、新たな体液が染み込んでくることを要する。これが十分に行われる ことのない関節や椎間板は、より老化が進むこととなる。関節や椎間板に圧力を 与えるためには運動を行わなければならない。
  スポーツクラブに入会して通うのも運動を行うための一法であるけれども、日常 よく歩くことが一番手軽に出来て、 かつ全身を程よく使う効果的な運動となる。
 またストレッチ体操などを無理なく行うのもよい。

参考になるホームページ
○肩こり・腰痛撃退虎の巻
○真向法体操(真向法協会)

表紙・目次  腰痛の原因と種類  力学的な腰痛  成人の急性腰痛治療ガイドライン

王子カイロプラクティック